子どもの頑張りに対して、親御さんはどういう褒め方をするといいのか。
『褒める』という行為は、簡単なようで実はなかなか難しかったりします。また、身内だからこそうまく褒められないというようなケースもあるかと思います。
ここでは、長く学習塾講師を経験してきた私から、『ナイスファイト!』という言葉を使った褒め方について、実際に起きたことを書いて紹介しようと思います。
小4の男子、ある日の水泳大会での出来事
私の教室に通っている小学校4年生男子のお母さまから、ある日お電話をいただきました。
内容は次のとおりでした。
今日、塾がある日で、本人は行くといっているが、非常にテンションが下がっている。その理由は、昨日あったスイミングスクールでの記録会で、飛び込みをした際にゴーグルが目から取れて、まったく思うとおりに泳げなかったとのこと。この記録会は本人十分準備して臨んでいただけに、落胆も大きく、今日になってもテンションが変わらないので、なんとか塾には行かせるが、普段通りではないかもしれないが、よろしくお願いします。
という内容でした。
私は、お母さまにお電話で状況をお伝えいただいたことを感謝し、その子を迎え入れました。
お母さまのおっしゃっていたとおり、いつものような元気はありません(もともと少し恥ずかしがりやだったので、なおさらそう感じました)。
私はその子に話しかけました。
私「お母さんがさっき電話くれたよ」
その子「うん」
私「昨日のスイミングの記録会のこと、聞いたよ」
その子「…」
私「昨日はナイスファイトだったな!」
その子「?」
私「飛び込みでゴーグルが取れちゃって、見えないなかで泳いだんだろ?練習のときもそんなこと経験してなかったのに、本番でその状況でよく頑張ったな!めちゃくちゃナイスファイトだよ!」
その子「でも、全然うまく泳げなかった…」
私「うん。それは確かに残念だったね…。でも、ゴーグルが取れちゃったら、そのまま泳がない子だっていると思うんだよね。それなのに、頑張って泳いだんだろ。それはすごいよ。だからナイスファイトだ」
その子「うん」
私「なんかさ、頑張ってチャレンジしてみたけど、それがいつもうまくいくとは限らないじゃんか。だけどさ、チャレンジしたことは、うまくいってなかったとしても、それはしっかりやったことなのはホントでしょ。だから、チャレンジしてうまくいかなかったときは、気持ちはヘコむかもしれないけど、自分自身に対して『ナイスファイト!』って言ってあげてほしいんだよね」
その子「うん。」
私「OK?じゃあ、今日も頑張るか」
こんな感じです。
「ナイスファイト!」の言葉の効果
その男の子は、その日いつもの通り授業を受けてくれました。
先ほどのコミュニケーション後は、特に特別に配慮することもなく、ふだんと同じように接しました。
その日の夜、その子のお母さまから再びお電話をいただきました。
内容は
今日息子が塾から帰宅すると、とっても元気になっていました。何があったの?先生と何を話したの?という感じで聞くと、先生がボクのことを『ナイスファイトって言ってくれた』と喜んでいるんです。結果は残念だったけど、頑張ったことそのものはちゃんと褒めてあげるといいんだって先生に聞いたっていうんです。先生、適切なお声がけありがとうございました。
とてもうれしい電話でした。
お母さまに再びお礼を言い、その子のことを思い浮かべました。
そして、この出来事をきっかけに、その子の塾での様子が変わりました。
具体的に言うと、毎回行っている漢字テストを、必ず満点を取るようになったのです。
もともと真面目な子なので、頑張ってテストの準備してきて、満点もしくは高得点を取る子ではあったのですが、あの『ナイスファイト!』の声かけ以後、必ず満点を取るようになりました。
何か月か経って、あるときお母さまとお話をする機会があったときに、この満点の話を共有すると、お母さまも変化のスタートが『ナイスファイト!』の声かけ後であったことを分かっておられて、ここでもまた感謝をされました。私は特に何もしていませんが、その子のどこかにうまく私の言葉が響いて、スイミングでの失敗を漢字テストの満点獲得の原動力に変えてくれました。
その子は小5になるときに、近隣の教室に移動することになったのですが、そのときまで漢字テストは満点を取り続けました。
褒める目的とは何か
『褒める』というのは、なかなか難しいと冒頭で書きましたが、
今一度『褒める』目的を確認したいと思います。
『褒める』目的は何だと思いますか?
私はズバリ
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